「ガス会社の依頼で給湯器を点検しに来た」
「一酸化炭素が出ていて危ない。すぐ交換しないと」
突然の電話や訪問でこう言われたら、その場で契約する前に一度立ち止まってください。点検を口実に訪ねてきて不安をあおり、必要のない給湯器交換を契約させる「点検商法」の相談が増えています。
2026年10月9日には、「一酸化炭素の濃度が危険」とうその説明をして給湯器の交換工事を契約させたとして、販売会社の経営者ら8人が詐欺の疑いで警視庁に逮捕されたと報道されました(共同通信)。報道によると、逮捕の理由になった被害者は70〜80代の方です。
この記事では、国民生活センター・消費者庁・東京都・東京ガスの公式情報をもとに、よくある手口・本物のガス会社の点検との違い・その場での断り方・契約してしまったときの対処法・相談先をまとめました(2026年10月時点)。
給湯器の点検商法とは?相談件数は5年で約5倍に
点検商法とは、「無料で点検します」などと言って訪問し、「このままでは壊れる」「危険だ」と不安をあおって、高額な商品や工事を契約させる手口です。国民生活センターは2024年2月21日に「給湯器の点検にご注意ください-70歳以上の高齢者を中心にトラブル急増!-」を公表しています。
| 年度 | 給湯器の点検に関する相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 206件 |
| 2019年度 | 241件 |
| 2020年度 | 245件 |
| 2021年度 | 335件 |
| 2022年度 | 561件 |
| 2023年度 | 1,099件(12月31日までの件数) |
同センターによると、契約した人の7割以上が70歳以上です。ご自身だけでなく、離れて暮らす親御さんにもぜひ知らせてあげてください。
よくある手口
国民生活センターと東京都が公表している事例から、よくある流れをまとめました。
| 場面 | よくある言い方・行動 |
|---|---|
| 最初の接触 | 突然の電話や訪問で「点検に伺います」「無料です」「外から見るだけです」 |
| 身分のごまかし | 「ガス会社から頼まれた」「自治体から委託を受けた」と名乗る |
| 不安をあおる | 「このままでは壊れる」「一酸化炭素が出ていて危険」 |
| 契約を急がせる | 「今日契約すれば割引」「すぐ工事しないと危ない」 |
東京都は2026年4月1日、「無料だから」「外から見るだけ」と点検だけのように訪問してガス給湯器の交換工事を勧誘していた2社に、特定商取引法にもとづく3か月間の業務の一部停止を命じています。都内でも実際に起きている手口です。
本物のガス会社の点検との違い
ガス会社による点検そのものは本当にあります。東京ガスの場合、ガス事業法にもとづく「ガス設備定期保安点検」を4年に1回(お客さまによっては2年に1回)、すべての契約者を対象に行っています。この点検には、一部の機器の一酸化炭素濃度の測定も含まれます。
つまり「一酸化炭素を測る点検」自体は本物にもあるため、言われた内容だけで本物かどうかは判断できません。次の違いで見分けましょう(東京ガスの場合)。
| 確認すること | 東京ガスの定期保安点検 | 注意が必要な訪問 |
|---|---|---|
| 事前の知らせ | 訪問予定日と時間帯を書いた「ガス設備定期保安点検訪問日のお知らせとお願い」が事前に届く。Webでも確認できる | 知らせがなく、突然電話や訪問がある |
| 費用 | 点検費用は無料 | 点検の後に高額な交換工事をその場で勧める |
| 身分 | 左胸に東京ガスのロゴが入った制服を着用し、東京ガスグループの身分証を持っている | 会社名をはっきり言わない、「ガス会社の依頼」とだけ言う |
東京ガス以外の都市ガス会社やプロパンガス(LPガス)の販売店と契約している場合は、点検の時期や方法が違うことがあります。迷ったら、訪ねてきた人ではなく、ご自身の検針票や請求書に書かれている契約先のガス会社に電話して確かめるのが確実です。
その場での断り方・確かめ方
- ドアを開けず、インターホン越しに対応する(国民生活センターも勧めています)
- 頼んでいない点検は「必要ありません」とはっきり断る
- 「ガス会社の依頼」と言われたら、相手が教える番号ではなく、検針票などに書かれた契約先の番号に自分で電話して確かめる
- 「危ない」「今日だけ割引」と言われても、その日のうちに契約しない
- 本当に交換が必要か不安なら、契約先のガス会社や給湯器のメーカーに相談し、自分で選んだ複数の業者から見積もりを取る
特定商取引法では、訪問販売をする事業者は、勧誘の前に事業者名・契約の勧誘が目的であること・商品の種類を告げなければなりません。また、「契約しない」と伝えた人に勧誘を続けたり、後日あらためて勧誘したりすることも禁止されています(消費者庁「特定商取引法ガイド」)。点検だけのふりをして来ること自体がルール違反になりえます。
契約してしまったら:クーリング・オフと取り消し
自宅への訪問で契約した場合は「訪問販売」にあたり、特定商取引法で次の制度が使えます。工事が終わっていても、まずはあきらめずに相談してください。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| クーリング・オフ | 申込書面または契約書面のいずれか早いほうを受け取った日から数えて8日以内なら、無条件で申込みの撤回・契約の解除ができる |
| 8日を過ぎていても | 書面の記載に不備がある場合や、事業者がクーリング・オフを妨げた場合は、期間を過ぎていてもできる場合がある |
| 契約の取り消し | 事実と違うことを告げられて(不実告知)誤認して契約した場合などは、契約を取り消せる |
国民生活センターによると、クーリング・オフは書面(はがき可)または電磁的記録(電子メールや事業者のウェブサイトの専用フォームなど)で通知します。はがきの場合は特定記録郵便や簡易書留など、送った記録が残る方法を使い、両面のコピーを保管しましょう。クレジット契約をしている場合は、販売会社とクレジット会社の両方に通知します。書き方に迷ったら、次の相談窓口で教えてもらえます。
困ったときの相談先(東京都内)
| 相談先 | 電話番号 | 受付 |
|---|---|---|
| 消費者ホットライン(最寄りの消費生活センターにつながる) | 188(いやや!) | 窓口により異なる |
| 東京都消費生活総合センター 消費生活相談 | 03-3235-1155 | 月〜土 9時〜17時 |
| 東京都消費生活総合センター 高齢者被害110番 | 03-3235-3366 | 月〜土 9時〜17時 |
| 東京ガスお客さまセンター(点検が本物か確かめたいとき) | 0570-002211 | 東京ガス公式サイトで確認 |
お住まいの区市にも消費生活センターがあります。188にかけると、近くの窓口につながります。
本当に交換が必要か迷ったら
給湯器が古くなっていて、本当に交換を考えたほうがよい場合もあります。そのときは、突然来た業者に任せるのではなく、自分で業者を選び、複数の見積もりを比べてから決めましょう。国民生活センターも「その場ですぐに契約せず、十分に比較検討する」ことを勧めています。
東京都内の業者の探し方や、国・都・区市の補助金については、次の記事で地域ごとにまとめています。
よくある質問(FAQ)
- 「ガス会社から頼まれた」と言われました。本物ですか?
-
その場では判断せず、検針票や請求書に書かれている契約先のガス会社に自分で電話して確かめてください。東京ガスの定期保安点検は、訪問予定日と時間帯を書いたお知らせが事前に届き、点検費用は無料です。国民生活センターは、業者が「ガス会社から依頼された」「自治体から委託を受けた」と名乗る事例を紹介しています。
- 「一酸化炭素が出ている」と言われたら、すぐ交換すべきですか?
-
その業者とすぐに契約する必要はありません。不安な場合はガス機器の使用をやめ、契約先のガス会社に連絡して確認してもらいましょう。本物のガス会社の点検でも一酸化炭素濃度を測ることがあるため、「測った」という事実だけでは本物かどうか判断できません。
- もう工事が終わってしまいました。クーリング・オフはできますか?
-
訪問販売の場合、書面を受け取った日から数えて8日以内ならクーリング・オフができます。書面に不備がある場合などは8日を過ぎていてもできる場合があり、うその説明で契約した場合は取り消せることもあります。まずは消費者ホットライン188に相談してください。
- 離れて暮らす親が心配です。何を伝えればよいですか?
-
「頼んでいない点検は断る」「その日に契約しない」「迷ったら家族か188に電話する」の3つを伝えておくと安心です。東京都内なら、東京都消費生活総合センターの高齢者被害110番(03-3235-3366)にも家族から相談できます。
まとめ:点検の電話・訪問は「その場で決めない」
- 頼んでいない点検はインターホン越しに断る
- 「ガス会社の依頼」は、契約先に自分で電話して確かめる
- 契約してしまっても、8日以内ならクーリング・オフ。迷ったら188へ
※この記事は2026年10月9日時点の公式情報をもとに作成しています。当サイトは給湯器の施工業者ではなく、業者の紹介・情報提供を行う広告メディアです。
参照:国民生活センター「給湯器の点検にご注意ください-70歳以上の高齢者を中心にトラブル急増!-」(2024年2月21日)/国民生活センター「分電盤の点検商法にご注意ください」(2026年9月16日)/国民生活センター「クーリング・オフ」/消費者庁「特定商取引法ガイド(訪問販売)」/東京都「点検だけのように訪問しガス給湯器交換工事を勧誘していた2社に業務停止命令」(2026年4月1日)/東京ガス「ガス設備定期保安点検(消費機器調査)」「東京ガス社員などを装った訪問や不審電話等にご注意ください」/東京都消費生活総合センター「消費生活相談窓口のご案内」
